同性パートナーと葬式。

祖父がガンで手術をするとの報せが母から届いた。

 

祖父は既に他界した祖母に比べて仲が良かったわけではなく、むしろ好いてはいなかったけれども、それでも悲しいという気持ちがあるくらいには思い出はある。

もう85歳。先も長くはないかもしれない。

もし亡くなったらどうするか。日本に帰って葬式に出るか。

葬式に出るとしたら、ではパートナーはどうするか。

 

そんなことをふと車を運転しながら思うわけで。

 

祖父の葬式。たくさんの親戚と地元の人。

いとこや叔父叔母までは、僕にパートナーがいて、そのパートナーが同性でフィリピン人であることを知っている。

ただ、祖父は未だに知らない。海外から友人が来てくれているとおもっている。

最後まで特にいう必要性も感じなかったから、言っていない。

 

ただ、僕はいまパートナーと家族としてNZで生きている。

そうであれば、冠婚葬祭にはいとこや妹が旦那さんや奥さんを同席させるように、

僕もパートナーと同席してもNZでは何も言われることはない。でも、日本ではそういうわけにはいかないかもしれない。

僕が祖父との思い出を噛み締めている間、横に一緒にいてほしいというのはわがままで、それが祖父の面目を潰すことになるのではないか。

 

あの人は誰なのか。確実に話題になる。

その中で、親戚たち/地元の人たちがいる中で、どのように答えるのかが正解なのか。

 

田舎では決してないけれども、都会でも決してないそんな場所に、50年近く住んでいれば、町の老人たちはみな顔なじみだ。

たくさんの人たちが来る。

孫にゲイがいるということが周りに気づかれるのは、祖父の葬式の場では避けるのが正解かもしれない。

 

葬式はやはり参列するのをやめようかな

 

一人で参列するくらいなら参列しなくてもいいかな、とも思う。

 

最終的には家族の意向に沿うつもりだ。

 

母を含め、母の兄と姉が僕らの参列を許可してくれるか、許可してくれないか、それで決めようと思う。

 

祖父の葬式には参加したいけれども、するならば、きちんと二人で参列したい。

権利を主張しているとか認めてほしいとかそういうわけではなくて、

葬儀の間に横に愛する人がいてくれる、そんなに素晴らしいことはないんじゃないかなと思う。

 

初めて同性愛者として家族との問題に打ち当たった気がしている。

 

 

Recovery Languageってなんだろう?使う言葉に気を付けよう、という話。

 

言葉の力は大きい。

道端の植物を、きれいな花、と呼ぶか、雑草だ、と呼ぶか。なるべくならお花と呼んで、愛でてあげたい。

思いやる気持ちを持ちたい。それは道端に咲く花にだけではなく、日常でも、仕事でも自分の接する人たちには思いやりのある相手を苦しめない言葉を使って話していきたい。

そう思うことが最近多い。

 

NZでメンタルヘルスの仕事をしていると、言葉にはパワーがあると思い知らされるし、働いている人はみんな身をもって経験している気がする。

だから、僕らは一言一言発する言葉にすごく気を遣う。

それだけではなく、使うべき言葉や言い換えるべき言葉というのも教わる。

 

それがLanguage of Recoveryである。 

リカバリーに向けて使っていくポジティブな言葉?かな。

たとえば、He/she is an alcoholicって文、彼はアル中だよ。という文。

この文から、僕らはたくさんの言葉を想像してしまう。

アル中、、朝から酒を飲み仕事もせずに家の中にいて家族に暴力を振るう。

その一言からたくさんの想像をするすごくネガティブな言葉だよね。

 

だから、僕らはそういう言い方はせずに、

He/she is a person with an alcohol use disorder という言い方をしたりする。

Personを先につけることで、その人がアルコール依存症である前に、一人の人間よね?という言葉に留意しよう、ということです。ただの属性の一つでしかないの。あなたは、いろんな側面を持っていて、自分はアルコール依存症だから、ダメなんだ、とは思わせない。そんな意味合いがここにはある。形容詞で説明してしまうと、私ってアルコール依存症だから・・と、制限をかけかねない。

 

ここまで、見てみればわかるように、

Language of Recovery には People First Languageも含まれる。

People First Language はLukeさんのブログを見ればわかりやすいので、みてください。

www.eigowithluke.com

このPeople First Langugeとプラスして、Recovery Langageでは、

単語の言い換えをよくします。

Manipulativeという言葉、割とよく使う言葉。

なんか、操るのがうまいとか状況を操作しようとするとか、そんな意味合いなんだけど、割とネガティブな嫌な意味合いで使うことが多いんだよね。

クライエントの何とかさん、言葉巧みに欲しいもの得ようとしてるんだよねー、気を付けないとね。

僕自身も、Manipulativeってほかの人から聞いて、そのクライエントさんと話すと緊張してしまう。すごくネガティブな印象をもって、接してしまうから、会話がぎこちなくなる。いろんな想像が膨らんで、その頭の中の勝手な予想が、悪い方向に左右したりする。だから、代わりに、He/She is trying very hard to get his/her needs metとか、 He/She may need to work on more effective ways of getting his/her needs metとか言ったりする。欲しいものを得るために、頑張ってる感じかな。あー、そうか。言葉遊びじゃん、と思われるかもしれないけど、その人の印象はがらりと変わる。

 

その他にもたくさん、僕らが使う言葉と使わない言葉がある。一例だけ、説明したけど、下の記事、読んでみてください。

couragecentersc.org

New Zealandは自然が豊かで幸せな国か。

自殺とか自死とか。

耳にしない日は無いくらい毎日のように

精神疾患を持つ方たちの自立支援サポートの仕事をしていると否が応でも耳に入ってくる。聞きなれすぎているのに、それでいて慣れない。

 

仕事から離れて日常に戻っても、

自殺というのは割と世の中の多くの人に関わりがあるように感じる。

多くの人が口にはしないだけで、自殺をした人を知っている。

 

2018年の統計調査によると、今年は過去最大で自殺者が多かった。特に、若い人の自殺は後を絶たない。15歳から19歳の若者の自殺率はOECD諸国(34か国)の中で一番高い。

自殺の理由は様々だ。

一つに特定するのは難しい。ただ、たとえば、学校のいじめ問題は社会に根強くある。貧困率も高ければ、家庭内暴力や虐待もかなり多い。若い人たちの高い妊娠率も問題になっている。うつ病は若い人の間で弱さの象徴のようにとらえられてる側面もある。

 

これは、日本の話をしているのではない、ここ私の住んでいるNZの話だ。

 

NZに来る前、私は勝手にNZといえば

羊と牧場、満天の星空、壮大な風景。大自然の中で、幸せにのんびりと生きる人々。

そんなことを勝手に想像していた。

幸せな国なのだろう。

 

パートナーがNZで仕事を見つけて、移住が決まったとき、

自然豊かで、ゆるい生活が待っている。

ゆるい自分にはぴったりだ、そう期待してNZに移住した。

それはすごく正しかったし、今も正しいと思っている。

 

街の人は親切で明るい。気さくに声をかけてくれる人もたくさんいる。社会福祉も整っている。移住して失敗だったとは思ったことない。

 

ただ、ソーシャルワークを大学院で学び始め、
メンタルヘルスの自立支援サポートの仕事をしていると、
この国の抱えるいろんな闇を垣間見ることが増えてきた。

完璧な国などどこにもない。どこの国も問題を抱えている。

外から見たら、なんていい国なのだろう、と思われるNZも、多くの問題を抱えている。ただ、政府は人々はしっかり考えて、対応しようとしている。いろんなプログラムが国中で行われている。

 

これから自分なりのペースで、

 NZの社会福祉政策やメンタルヘルスについて、ブログで綴っていければと思います。

NZに住んでいるからこそ、見えてくる日本の問題とか良さとかも綴っていければと思います。

 

 参考資料について:

https://www.bbc.com/news/world-asia-40284130

Suicide: The Social Report 2016 – Te pūrongo oranga tangata

 

その他(ヘルプライン):苦しい時、誰かに話したいときにかけてください。

日本在住者向け:

よりそいホットライン(一般社団法人社会的包摂サポートセンター) 
  通話料:無料、24時間対応
  ガイダンスで専門的な対応も選べます(外国語含む)。
    0120-279-338(フリーダイヤル つなぐ ささえる)
  岩手県・宮城県・福島県からおかけの方:0120-279-226(フリーダイヤル つなぐ つつむ)
  ※050で始まるIP電話やLINE Outからは、下記の番号におかけ下さい(24時間対応)。
    050‐3655‐0279

こころの健康相談統一ダイヤル 
 ●電話をかけた所在地の都道府県・政令指定都市が実施している「こころの健康電話相談」等の公的な相談機関に接続します。
  相談対応の曜日・時間は都道府県によって異なります。
    0570‐064‐556
 ※050で始まるIP電話やLINE Outからは接続できません

 

 

NZ在住者向け:

National helplines

Need to talk? Free call or text 1737 any time for support from a trained counsellor 

Lifeline – 0800 543 354 (0800 LIFELINE) or free text 4357 (HELP)

Suicide Crisis Helpline – 0508 828 865 (0508 TAUTOKO)

Healthline – 0800 611 116

Samaritans – 0800 726 666 

https://www.mentalhealth.org.nz/get-help/in-crisis/helplines/

NZ在住で日本語で困ったことがあったとき、Citizens Advice Bureauなら日本語相談できます。下記のリンクを見てみてください。

http://www.cab.org.nz/languageconnect/Japanese/Pages/home.aspx